Farm to Table Vol.1 <Prometeo社①>

今回より、”Farm to Table”(農場から食卓へ)と題し、弊社取り扱い商品の各生産者/メーカーの様子を紹介してまいります。

初回は「有機アインコーンクスクス」「有機アインコーン全粒粉」の生産者Prometeo(プロメテオ)社です。


Prometeo社は1991年に設立され、2017年、設立26年を迎えました。本社はイタリア・マルケ州ウルビーノ県。県内の契約栽培農家との長年の関係を丁寧に築いてきています。本社には加工場(製粉所)が併設されています。石臼により低温製粉する製粉所となっています。

古代小麦に取り組み始めたのは約10年前。Prometeo社が最初に取り組んだのはEmmer。その後、Einkorn(アインコーン)に着手します。これらはFarro(ファッロ)と呼ばれる古代小麦にあたります。しばしば誤解を呼ぶFarroですが、3つのタイプがあります。Farro monococco/piccolo=Einkorn=一粒小麦、Farro dicocco/medio=Emmer=二粒小麦、Farro spelta/grande=Spelt=普通小麦です。通常イタリアでFarroとは最も生産量が多いEmmer(エンマー)を指しますが、Farro「○○」のように種類分けがなされています。

英語表記のEinkornは、イタリア語表記でmonococcoと書きます。学術的にはTriticum(コムギ)属のmonococcumにあたります。主に地中海を中心とした地域で散発的に栽培されており、そのうちの一つがイタリアになります。全ての小麦の「祖先」「原種」に当たるのがEinkornであり、1万年以上前から栽培、食用とされてきています。

青銅器時代(約4~5千年前)に、より栽培がしやすく、収量が上がり、使い勝手の良い小麦を栽培し始めたことで、Einkornの栽培はほぼ皆無となってしまいます。Prometeo社はEinkornの栽培から加工に至るまで、一貫して行い、この特別な小麦を再び世の中に広げる活動を行っています。

Prometeo社のEinkornは他の会社のEinkornとは違います。Prometeo社のEinkornはMonLisという品種です。MonLis種は、National Register of Variety(国立品種登録機関)に2006年に登録され、CRA (National Council of Agricultural Research国立農業研究協議会)により育種されています。Prometeo社は独占的にこの品種のEinkornを使用することを許可されています。

WHOによるMONICA(Multinational Monitoring of Trends and Determinants in Cardiovascular Disease)プロジェクト*1の実験の一部としてMonLis種Einkornの研究がなされた結果、以下のことが分かっています:

■高いたんぱく質値
■高い灰分値
■低い飽和脂肪酸値
■低いでんぷん値と高い消化値
■高い抗酸化物質と黄色色素(ビタミンAの前駆となるβカロテンなどのカロテノイド)
■高いトーコル(ビタミンE)値

Prometeo社はSpeltは栽培しておりませんが、小麦の収穫の順番は、Spelt、Emmer、Einkornで行っているようです。今年6月に現地を訪問した際、6月15日時点のEinkorn畑の色はまだまだ緑色でしたが、Emmerはほどよく黄金色になってきていました。Einkornの収穫はおおよそ7月の上旬に行われるようです。

現地訪問の様子は一部こちらからご覧頂けます。

*1プロジェクトの目的は、いくつかの異なった集団を10年以上にわたり追跡し,心血管疾患の傾向と決定因子,特に致死性または非致死性冠動脈発作の発生率と心血管疾患の危険因子(血圧,喫煙,コレステロール)を比較検討することにあります